株式市場における年間のアノマリーの一覧です。マーケットの未来は予測できませんが「自分が今市場サイクルのどこにいるのか?」を知ることはできます。
月別のアノマリーを確認して、トレードの参考にしてみてください。
This is a list of annual anomalies in the stock market.
アノマリーとは?
アノマリーは「理論的な根拠はないが経験的に観測できる規則性のこと」です。
「anomaly」は、法則や理論などで説明できない事象や個体のことを示しますが、株式市場では季節的に「起こりやすいこと」や歴史的に「起こりやすいこと」を示すことが多いです。
以下、株式市場の年間アノマリーを月別に一覧にしました。
1月のアノマリー「1月効果」
1月のアノマリーは「1月効果」です。1月のリターンは他の月よりも大きくなりやすく、1月の相場が強いとその年の株価は上昇しやすいと言われています。
ちなみに、1月効果は大型株よりも小型株で顕著ということが知られています。
1月の米国ナスダック総合指数、日経平均株価のパフォーマンスは最も高いというデータもあります。
また、1月はリターン・リバーサルが起こりやすい、ドル安になりやすいというアノマリーも存在します。以下は補足説明です。
リターン・リバーサルとは?
リターン・リバーサルというのは株式の「逆張り」手法のことです。「上昇した株は下落する」「下落した株は上昇する」という考え方がもとになっています。1月は「年内強気」の見通しの時下落しやすいし、「年内弱気」の見通しの時に上昇しやすいのですが、それが1月に起こりやすい理由は「ほとんどの人が、年内に物事を済ませようとする」ためです。
- 来年は株が上がりそうだ→年内に株を買っておこう→1月に買い手がいなくなり下落する
- 来年が株が下がりそうだ→年内に株を売っておこう→1月に売り手がいなくなり上昇する
1月のアノマリー ドル安
1月「ドル安」になりやすいのは、米国や中国の投資家の影響が大きいといえます。理由がこちらです。
- 米国の投資家が海外で新規投資を行うためにドル建ての資産を売却する
- 中国の投資家がポジションの整理をおこなう(春節が近いため)
- 「春節」は中国・中華圏における旧暦の正月(旧正月)のこと
年 | 春節の日 |
2024年 | 2月10日(土) |
2025年 | 1月29日(水) |
2026年 | 2月17日(火) |
2027年 | 2月06日(金) |
中国の春節の日にちは毎年変わる
2月のアノマリー「節分天井」
2月の株式市場では「節分天井・彼岸底」というアノマリーが有名です。
2月の節分の頃(2月上旬)に株価は天井をつけやすく、彼岸に向けて下落がおこりやすいというものです。
また、「2月効果」というアノマリーもあり、これは2月がプラスで終わるとその年のパフォーマンスがよくなるというものです。
1月もプラス、2月もプラスとなったときには、年末までに2桁の上昇となりやすいということが知られています。
3月のアノマリー「彼岸底」
3月のアノマリーは2月の「節分天井」からつづく、「彼岸底」が有名です。
彼岸「3月上旬」に向けて下落が起こりやすいというものです。
2月は下落しやすいというアノマリーがありますが、3月の決算に向けて機関投資家がポジションを調整するということも影響していると考えられます。
4月のアノマリー「4月末売り」
4月のアノマリーは「4月末売り」があります。つまり、4月末には株を売った方がいい。
4月の株式市場では海外投資家が日本株を買い越すことが多い(売りより買いが多い)ので、株価が上昇しやすいと言われています。上昇しきった株価は下落しますから、4月末に売却することでよりパフォーマンスを高められるというものです。
また、4月には決算発表も相次ぐことから、投資家心理にも影響を与えます。4月は株式市場に「追い風が吹く」特別な月であり、大企業の株価が上昇しやすい傾向があるのでアノマリーをうまく活用したいところです。
ちなみに、2024年は嵐の4月でしたね。
5月のアノマリー「セルインメイ」
5月のアノマリーで最も有名なのが「セルインメイ(Sell in May)」です。
アメリカの株式市場では、ダウ平均株価が5月を境に下落していく傾向があることから、セルインメイという相場格言が生まれたようです。
また、イギリスに “Sell in May and go away, don’t come back until St Leger day” という有名な相場格言があります。 「5月に株を売りなさい、そして9月中旬に開催される有名な競馬レース「St Leger day」まで戻ってくるな」という意味です。
夏になると投資家はゴルフやプールサイドを好むようになるから、相場が閑散としやすいことがあり、5月には株を売ってバケーションへ出かけることがよいとされています。
6月のアノマリー「日本株高」
6月のアノマリーは「日本株高」です。
米国株に比べて、日本株が高くなりやすいことです。
米国は5月のセルインメイで株価が下落しやすいですが、日本では6月に株主総会が多く開かれます。そのため心理的にも株価は上昇しやすい傾向があります。
さらに、自社株買いや配当金の再投資効果もあり日本株が優勢となりやすいとされています。
7月のアノマリー「夏枯れ開始」
7月のアノマリーに「夏枯れ相場」があります。7月は取引材料に乏しく、市場の取引量が減少しやすいと言われています。
海外投資家がバカンスを前にポジションを手仕舞うことや、お盆休みなどで市場参加者が少なくなることが理由の一つと言われています。
8月のアノマリー「夏枯れ相場」
8月のアノマリーも「夏枯れ相場」です。7月は夏枯れ相場の始まり。8月には国内でも海外でも夏には夏季休暇があり、相場が閑散としやすいことが知られています。
市場参加者が少なくなることで株価は下落しやすい傾向にあります。
9月のアノマリー「下落の月」
9月のアノマリーは「下落の月」です。
「夏枯れ相場」の最終月でもあり、5月の「セルインメイ」では9月まで戻ってくるなということが示唆されています。米国では個人の確定申告の税還付からの資金流入も一巡します。
そのため、9月は歴史的に最も下落しやすい月と言われています。
10月のアノマリー「10月に買え」
10月のアノマリーに「10月に買い、4月に売れ」というものがあります。9月に株価が下落しやすいので、下落したあとの10月に株を購入するのが効率がよいと言われています。
また、10月はファンドの決算期でもあることから、株のポジション調整で株価が下落しやすくなる傾向があります。
9月、10月と下落するということは絶好の「買い」の月となる可能性が高いです。この時期はとくに株価をチェックしてみるとおもしろいかもしれません。
11月のアノマリー「勝ち月」
11月のアノマリーは「勝ち月」です。12月と並んで年間でも最も騰落率が良い月の一つです。
11月上旬からは3月期決算企業の中間決算発表が次々と行われます。12月末が権利確定日である配当銘柄への資金流入もあり、配当金の再投資も期待できます。9月以降の下落も一服して、海外投資家も買い越しの姿勢を強めることが多いです。
11月は「地合いの良い月」と覚えておくと、良いかもしれません。
12月のアノマリー「クリスマスラリー」
12月のアリマリーは「クリスマスラリー(サンタクロースラリー)」が有名です。
12月は基本的に上昇しやすい月ですが、前半と後半で景色が変わります。前半は巨額の節税売りが起こりやすく下落しやすい。そして後半は節税売りが一巡することで上昇しやすいです。個人のボーナスがマーケットに参加することも要因の一つと考えられます。
後半に有名なのがクリスマスラリーで、年末の5取引日から新年の2取引日までは株価が上昇を続けやすいというものです。
来年は株が上がりそうだ。と考える人は年内に株を購入するかもしれません。となると、1月のアノマリーである「リターン・リバーサル」に繋がってくるわけです。
以上、株式市場における年間アノマリーの一覧でした。
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